ジュニアNISAは相続税の節税になることから話題にのぼることもあり、メリットばかりが先行するかもしれませんが、デメリットもありますので、しっかり仕組みを理解した上で運用することをおすすめします。
特にジュニアNISAの口座開設先や実際に運用する商品などが大事になってくるので、しっかり勉強されてから行動に移しましょう。
ジュニアNISAとは?
ジュニアNISA(ジュニアニーサ)とは、2016年からスタートした制度で、未成年のお子様のための「少額投資非課税制度」です。ジュニアNISA口座で投資すると、そこで売買で得た利益や、配当金・分配金にかかる税金が0%(非課税)になります。
一般NISAとは性質が全く異なりますので、一般NISAとの比較はせずにここではジュニアNISAについて深く掘り下げていきたいと思います。
ジュニアNISAは0~19歳の方が口座開設が可能となっています。当然子供が運用することはできないので、代理で親などの親権者が運用することになります。
ジュニアNISAのメリットは?
配当金・売買益が非課税
ジュニアNISA口座で購入した上場株式や投資信託の配当金、分配金、譲渡益が5年間にわたり非課税となります。また年間80万円まで購入可能となっています。一度売却しても年額80万円の枠が増額することはありません。
また利用しなかった分を、次年度への繰越はできません。
特定口座、一般口座では、売却益や配当・分配金に対して20.315%の税金がかかります。
例
累積80万円で購入した投資信託が100万円になり、売却した場合、20万円が譲渡利益となりますが、特定口座(一般)の場合は20万円に対して20.315%の税金がかかるため、15.937万円が受け取ることができる利益となります。
約4万円も変わってきますね。非常に大きなメリットといえます。
5年間が終わるとロールオーバーされる
※セゾン投信より引用
投資期間は、2023年までとなっています。2024年以降はジュニアNISA口座で新規購入することはできません。
ただし、例えば1年目で80万円分購入した投資信託が100万円の評価額となり、6年目になった際に、100万円がロールオーバーされ引き続き5年間非課税となります。18歳になるまでは何度でもロールオーバーできます。
非課税枠の売却後はNISA内課税口座に移る
※楽天証券より引用
オレンジ色の部分がジュニアNISA口座となります。その中で非課税枠と課税枠に分かれます。商品を売却後には課税口座に資金が移されます。非課税枠が余っていれば、また投資可能ですが、なければジュニアNISA内の課税口座で運用することになります。
なお、配当や分配金などもジュニアNISA内の課税口座に移されます。配当や分配金も非課税なので、受領した分をNISA枠から出すことはできません。
節税対策になる
贈与税は年間110万円までとなっていて、ジュニアNISAの範囲内なので節税対策としてお子様やお孫様への教育資金の準備にも活用するできます。
ジュニアNISAは子供一人あたり5年間×80万円で400万円の投資額なので、是非活用したいですね。
ジュニアNISAのデメリット・注意点は?
原則として18歳までは資金の払い出しができない
最大のデメリットでもありますが、子供が18歳になるまで資金の払い出しができません。18歳になるまでに引き出すと、課税扱いになり、遡って税金を支払う必要があるので、要注意です。
ジュニアNISAのの口座の金融機関を変更できない
ジュニアNISAでは、複数の金融機関で運用はできません。1人1つの金融機関で開設し、子供が18歳になるまで運用することとなります。長期の運用となるため、口座を開設する金融機関は慎重に選びましょう。オススメの証券会社は後述します。
一般NISA同様に損益通算ができない
特定口座なら可能な損益通算ができません。これはNISAの大きなデメリットで、また購入する商品の幅を狭めます。
購入する商品によっては、NISAではなく、特定口座で運用したほうがよかった。となる場合があるということですね。
簡単に例を出します。ここでは、計算が楽になるように税金を20.315%ではなく、20%とします。
例
NISA口座、特定口座それぞれ両方の口座で運用したとします。
NISA口座で、50万円で買ったものが10万円まで下がってしまい、売却したとします。損失が40万円となってしまいます。
一方、特定口座でも運用しており、10万円で購入したものが60万円で売れた場合は50万円の利益になりますが、ここに20%の税金がかかるので、最終的に40万円が受け取ることのできる利益になります。
NISA口座で40万円の損失が出ており、特定口座で40万円の利益が出ているので差し引き0円が最終利益になります。これが損益通算ができない計算です。
損益通算ができる場合はどうなるか。仮にNISA口座で損益通算ができるとして計算してみましょう。
上の例をとります。
税引前計算としてNISA口座では損失40万円、特定口座で50万円の利益です。
合算すると10万円の利益で、そこから20%課税され8万円が最終利益となります。
NISA口座では損益通算が出来ないため、例のような運用の場合は、損益通算できる特定口座内で運用した方が最終的に利益がでることとなります。
まとめとして、NISAでは損失が出にくいような商品を購入することが大切です。
配当金受取方法は「株式数比例配分方式」に設定が必要
ジュニアNISA口座で配当金・分配金を非課税で受け取るためには、配当金の受領方法を「株式数比例配分方式」に設定する必要があります。口座を申し込む際に設定があるので、そこで「株式数比例配分方式」を選択しておきましょう。
おすすめの運用商品
18歳まで資金を引き出せないので、18年間の長期投資を意識した投資となります。また、頻繁に売買するのではなく購入したら基本的にはずっと保有しておくというスタンスになると思います。
購入後ずっと保有し18歳になった時に、一括売却するのか、それとも特定口座に移すのかといった出口戦略も考えるところであると思います。
仮に18年後だと仮定すると、どんな世界になっているか想像がつきません。相場環境の良し悪しも分からないというのが難しいところです。
長期的な投資ということを考えれば、基本は世界分散になってきます。
投資信託でおすすめ
こつこつ積立で購入するなら投資信託がおすすめです。金額指定で買えるので、お手軽です。リスクを考えると、償還リスクと信託報酬がやや高いというところです。
楽天・全世界株式インデックス・ファンドがおすすめです。通称楽天VT、ストレートにこれ一本です。全世界に分散された株式をまるっと買うことができるバンガードのETFであるVT、このVTをシンプルに買い付けるファンドが楽天・全世界株式インデックス・ファンドです。
株式でおすすめ
投資信託と同じ、本家バンガードのVTがおすすめです。18年という長い期間を考えれば特定の国への投資ではなく世界分散が最も安全だと考えます。より高パフォーマンスを望むのであれば、分散を弱めることで高いリターンが得られます。しかしそれはマイナスリターンのリスクも上がることを意味します。迷うなら全世界投資がおすすめです。
本家バンガードのVTを買うメリットとしては、信託報酬が安いことです。VTの経費率は0.1%です。投資信託の楽天・全世界株式インデックス・ファンドは0.22%です。期間が長ければ長いほど経費率の差は効いてきます。
しかし、VTは東証では買えません。米国市場で買う必要があります。東証で買えるETFとなると、[1655]iシェアーズ S&P500 米国株 ETFや、[1557]SPDR S&P 500 ETF Trustなどがあります。これらは米国の大型株500社に投資するETFとなっています。VTの6割が米国が占めていますので、東証で買えるETFならば米国への分散されたETFという選択肢が有力です。
おすすめの証券会社
銀行などもジュニアNISAを取扱っていますが、基本はネット証券でよいでしょう。
そうなってくるとSBI証券か、楽天証券かということになってきます。それぞれの特徴を捉えておきましょう。
SBI証券・楽天証券共通のメリット
- 国内株式手数料は0円 (REIT・ETF含む)
- 投資信託もノーロードファンド多数
上記にあまり差はありません。
楽天証券では、楽天銀行との連携のマネーブリッジは利用できません。ですので、楽天証券によるハッピープログラムで楽天ポイントをゲットはできないようです。
SBI証券・楽天証券の違い
SBI証券は海外の株式を購入できますが、楽天証券ないし他の証券でも対応していません。
バンガードVTを米国市場で買えるのはSBI証券だけということになります。海外株式が視野にある場合は、SBI証券をおすすめします。
ちなみに私は、子供の銀行を楽天銀行で開設しました。住信SBIネット銀行では15歳未満は口座開設できないので、楽天銀行にしたのですが、その関係で楽天証券を選んでいます。
また、できれば自分が資産を預けている証券会社には倒産してほしくないので、将来倒産の可能性が低そうな会社という視点で選んでもよいかもしれませんね。
いずれもジュニアNISAも含む話キャンペーンとなっています。あまり魅力的ではないので、考慮する必要はないかもしれません。