銀行というと、普通預金や定期預金、給料の振込先などといったイメージをお持ちではないでしょうか?
お金にまつわる事業を営む銀行ですが、普通預金や定期預金といった分かりやすい商品から、投資信託などやや複雑な商品など幅広く扱っています。
本記事では、オリックス銀行が提供する人気商品の「eダイレクト金銭信託」を解説していきます。
eダイレクト金銭信託とは?
大まかなイメージとしては、社債をイメージしてもらえれば分かりやすいかもしれません。
社債は、あらかじめ設定された満期までの間、投資家に対して利息が支払われる仕組みであり、ほとんどの場合は固定金利です。
金銭信託とは?
eダイレクト金銭信託はオリックス銀行の金融商品となりますが、一般的な金銭信託とはどういったものでしょうか?
金銭信託は、信託銀行等に金銭を信託し、信託銀行等がその金銭を管理・運用する商品です。
ここでいう信託銀行等=オリックス銀行ですので、顧客がオリックス銀行にお金を信託して、運用してもらうということですね。
社債に近い理由
- 主にソフトバンクグループへの投資
- 信託期間 1年(ソフトバンクグループ株式会社第28の場合)
- 予定配当率 年0.48%(ソフトバンクグループ株式会社第28の場合)
1.主にソフトバンクグループへの投資
オリックス銀行の場合、このところソフトバンクグループへの投資が多くなっています。
金銭信託を運用する信託銀行は、一社に集中的に投資する必要はありませんが、オリックス銀行の場合は、ソフトバンクグループへの投資が多くなっていますね。
2.信託期間 1年
信託期間が決まっており、ソフトバンクグループ株式会社第28の場合ですと1年間ということになります。
3.予定配当率 年0.48%
予定配当率による収益金を年利0.48%と見込んでいます。決まった金額を支払うという点で、社債に近いイメージで良いかと思います。
社債の場合は、株式会社が発行した債権を直接買いますが、eダイレクト金銭信託の場合は、オリックス銀行に信託してオリックス銀行が運用先に投資をし、収益を還元するといった運用となります。
eダイレクト金銭信託のメリット
- 金利が比較的高い
- 仕組みが比較的分かりやすい
- 運用期間が1年と短い
1.金利が比較的高い
過去に実施されたeダイレクト金銭信託を見ると、年0.5%程度の予定配当率となっている商品が多いです。
オリックス銀行の定期預金は記事執筆時点では、一年定期預金で0.2%の利率となっています。
eダイレクト金銭信託は、定期預金よりも収益が見込めますが、もちろんリスクがあります。リスクや定期預金との違いについては、後述します。
2.仕組みが比較的分かりやすい
金融商品は、非常に複雑な商品も多く存在しますが、基本的には、複雑な商品はオススメしません。
なぜなら複雑になっている分だけ、手数料を多く取られる傾向にあるためです。
投資・金融商品はなるべくシンプルなものを選択するようにオススメします。
eダイレクト金銭信託は、上場企業一社に貸付をするシンプルなスキームとなっています。
3.運用期間が1年と短い
運用期間が短いほど、安心感がありますよね。無リスクではありませんので、お金を信託している以上、何が起きるか分かりません。
eダイレクト金銭信託のデメリット・注意点
- 元本保証されていない
- 予定配当率はあくまで予定
- 信託報酬が不透明
- クーリングオフ制度の対象外
- 中途解約はできない
1.元本保証がされていない
定期預金と大きな違いです。定期預金は1000万円とそれにかかる利息は保証されています。
貸付先、運用先で経営破綻等あった場合は、元本保証が保証されません。
このあたりのリスクをどうとるか?が観点となってきますね。社債に関しても同じなので、社債同等のリスクと考えられますね。
2.予定配当率はあくまで予定
eダイレクト金銭信託の過去の予定配当率をみる限り、0.5%程度の配当が多いです。しかし、これは確定利回りではありません。あくまで予定となっていますので、元本保証と同じくリスクが生じます。
リスクばかりを強調していますが、実際過去のeダイレクト金銭信託を見る限り、すべて予定配当率どおり償還しています。実績を見る限り安心できそうですが、将来のことは誰も分かりません。
3.信託報酬が不透明
信託報酬とは、平たく言えばオリックス銀行の儲け分ということになります。オリックス銀行は営利企業ですから、当然ながら利益を求めます。
信託報酬は、信託財産の中からいただきます。予定配当率にて計算される配当金からいただくものではありません。信託報酬の金額は、信託元本の上限0.30%から下限0.01%に相当する金額の範囲内とし、受託者が信託約款の定めにしたがい受領します。
eダイレクト金銭信託の商品説明からの引用になります。
信託報酬が上限が0.3%で下限が0.01%となっていますね。信託報酬の上限である0.3%としても許容の範囲であるといえます。
他の定番金融商品である投資信託でいえば、1%を超える投資信託も山ほどあるので、本商品は消費者を騙して悪質な金融商品を売るということは一切ありません。
また、信託報酬は予定配当から引かれるものではありません。例えば予定配当が0.48%であるならば、0.48%の配当を償還する予定です。
平たく言えば、オリックス銀行が信託報酬を0.3%と考えているならば、0.78%程度の収益を見込めるということですね。
逆にいえば、元本が毀損する運用であっても、オリックス銀行は信託報酬は必ずとります、ということなので、オリックス銀行は絶対に儲かるスキームとなっています。
4.クーリングオフ制度の対象外
オリックス銀行・eダイレクト金銭信託はクーリングオフ制度の対象外となっています。キャンセルは出来ないので注意をしましょう。
5.中途解約はできない
原則として中途解約ができません。
特別解約事由(死亡、破産等)が生じた場合で、受託者が信託財産の交付に支障がないと判断した場合に限り、信託に残存する中途解約準備金の範囲で解約に応じます。
eダイレクト金銭信託のその他の特徴など
- 申込手数料無料
- 申し込みは100万円以上
まとめ
オリックス銀行のeダイレクト金銭信託はおよそ一社に貸付をするため、社債と似たスキームになっています。
オリックス銀行の定期預金と比較
- 1年定期預金 0.2%
- eダイレクト金銭信託 (予定配当率型)ソフトバンクグループ株式会社第28号 0.48%
利回りを比較すると、eダイレクト金銭信託の方が0.3%程度高くなることが分かります。この差がリスクプレミアムになります。
株式投資と比べると、リスクは低いですが、その分リターンも限定的ですね。
良心的な商品だと思いますが、リターンが0.3~0.5%の世界であれば、わざわざリスクをおう必要もないかなぁという印象です。
金融商品は怪しい商品が数多く存在しますが、オリックス銀行のeダイレクト金銭信託は顧客目線の優良な商品だといえます。あとはリスク・リターンをどう考えるか?という話になってきます。
以上、参考になれば幸いです。